【講演会感想レポート】誰一人取り残さない防災
主催:弥富防災ゼロの会/講師:高林先生
- 災害関連死・震災後の生活への視点
これからの災害対策において重要なのは、地震による建物の倒壊などで亡くなる「直接死」への対策だけではありません。
- 災害関連死の増加: 災害後の過酷な避難生活で亡くなる方や、生活再建への絶望から自死を選ぶ方など、「災害関連死」を防ぐ視点が不可欠です。
- 命を守った「その後」: 命が助かった後の生活をどう守り抜くかという、長期的な視点が求められています。
- 「事前防災」の圧倒的な経済合理性
先生の講演で特に印象的だったのは、事後対応よりも事前対策の方が、コスト面でも生活面でも合理的であるという点です。
- 費用の比較: 倒壊した家の再建や仮設住宅には数千万円(例:2000万円)かかりますが、事前の耐震改修ならその10分の1(200〜300万円)で済みます。
- 復興の現実: 災害後は建築費の高騰や人手不足により、お金があっても家が建たない現実があります。
- 火災防止: 古い家屋の倒壊を防ぐことは、大規模火災(飛び火)の要因を減らすことにも直結します。 事前の耐震化は、命を守るだけでなく、地域経済にとっても有効な投資と言えます。
- 「選別する福祉」から「普遍的な福祉」へ
避難所運営や支援のあり方について、「弱者だけを助ける(選別)」のではなく、「全員で支え合う(普遍)」という考え方が示されました。
- 全員が担い手: 誰かが誰かを一方的に助けるのではなく、住民、自治会、社協、役所が互いに協力し合う関係が必要です。
- 自己肯定感の向上: 日本の若者は諸外国に比べ「社会の役に立てる」という自己肯定感が低いというデータがあります。防災訓練を通じて「自分も誰かの役に立つ」という体験を積むことは、この課題の解決にも繋がります。
- 孤立させない: 一人一人の「自助」も大切ですが、水や食料の確保、トイレの問題など、災害後の生活は一人では成り立ちません。「防災と福祉はセット」であるという認識が不可欠です。
- 多様性の理解と「社会の障害」を取り除く
「誰一人取り残さない」ためには、形式的な平等ではなく、現実にある「違い」を直視する必要があります。
- 多様な背景: 女性、高齢者、障害者、外国人など、社会的立場や役割は均一ではありません。ジェンダーの視点も含め、災害時にあぶり出される格差を認識する必要があります。
- 障害の社会モデル: 「足が不自由だから歩けない」のではなく、「歩きにくい環境があるから移動できない」と考えます。
- ハードとソフトの融合: 誰にとっても障壁とならないハード整備(建物・移動手段)と、心のバリアを取り除くソフト面の対応。この思想は、福祉と防災で全く共通するものです。
- 結論:コミュニティ再構築としての「防災福祉体験」
かつては「お祭り」などが担っていた地域のつながりが、核家族化や都市化で希薄になっています。
- 新たなつながりの場: お祭りに代わるものとして、「防災訓練」や「防災福祉体験」を位置づける必要があります。
- 命令ではなく「体験」: 「こうしなさい」という上からの指導ではなく、体験を通じて自然と助け合い、お互いを認め合う関係を作ること。 それが、いざという時に「誰一人取り残さない」地域を作る土台になると強く感じました。