2026年2月6日

【特集】「未曾有の事態」にマニュアルは機能するか?  東日本大震災における学校等の対応等に関する調査 報告書

【特集】「未曾有の事態」にマニュアルは機能するか?

~AIで読み解く、東日本大震災・2,600校の「現場の真実」~

学校が大災害に見舞われたとき、あるいは地域の避難所となったとき、現場では一体何が起きるのか――。 各学校にはすでに詳細なマニュアルや要綱が整備されていることと思います。しかし、「未経験の災害」に対して、平時に作られたマニュアルが果たして通用するのか、不安を抱えている先生方も多いのではないでしょうか。

その答えとヒントは、やはり**「実際に災害を経験した学校の記録」**の中にあります。

文部科学省は、東日本大震災の後、岩手・宮城・福島の被災3県における国公私立学校(幼稚園から高校・特別支援学校まで約3,100校)を対象に、大規模なアンケート調査を行いました。回収率は80%を超え、そこには**「生々しい体験談」と「現場の教訓」**が膨大に記録されています。

これら全ての記録に目を通すことが理想ですが、多忙を極める学校現場において、膨大な報告書を読み込む時間は限られているのが現実です。

そこで本特集では、AI(人工知能)を活用し、この膨大な報告書を現代の学校防災に活かせる「実践的な知恵」として再構築しました。

本ページの特徴

  1. AIによる要約と分析 膨大なテキストデータから重要ポイントを抽出し、短時間で要点が掴めるように要約しました。

  2. 「事例」に基づく具体的提言 単なる要約にとどまらず、現場で起きた具体的な「事例」を抜き出し、そこから得られる教訓を「提言」としてまとめています。

  3. 章ごとの閲覧とPDFダウンロード 「地震被害」「津波対応」「避難所運営」などテーマごとに章を分け、スマホやPCでスクロールして読めるようにしました。また、職員会議や研修資料として印刷できるよう、各章の冒頭にPDFダウンロード機能を用意しています。

「想定外」を乗り越えるためのヒントは、先人たちの経験の中にあります。ぜひ、貴校の防災体制の見直しにお役立てください。

(以下、各章のリンクへ続く)

 

 

平成23年度 東日本大震災における学校等の対応等に関する調査 報告書

平成24年3月 文部科学省

https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/saigai01.pdf

序 章

調査の概要

1 事業実施経緯

2 調査の目的

3 調査の対象・方法・項目等

4 調査結果の概要

第1章 地震による被害状況と対応について

1 東日本大震災における地震による被害状況について

2 『地震』に対する各学校等の対応について

3 各学校等における情報収集・発信の状況について

4 帰宅困難な状況の発生状況について

第2章 津波による被害状況と対応について

1 東日本大震災における津波による被害状況について

2 『津波』に対する各学校等の対応について

第3章 安全管理・防災教育などの実施状況について

1 各学校等での避難訓練の実施状況について

2 各学校等での防災教育の実施状況について

3 各学校等での安全管理の実施状況について

第4章 避難所の運営状況について

1 避難所の運営状況等について

2 震災後の児童生徒等について

自由意見

調査結果のまとめ

1 初期対応(一次避難)について

2 二次対応(二次避難、三次避難)について

3 津波対策について

4 安否確認及び引き渡しと待機について

5 校内の体制整備について

6 避難訓練及び防災教育について

7 教職員研修について

8 避難所運営について

9 心のケアについて

 

調査の背景・概要とデータの見方

  1. 調査の目的

日本において、学校は児童生徒の安全確保の場であると同時に、地域の防災拠点としての役割も担っています。

阪神・淡路大震災では、児童生徒が学校にいない時間帯の災害だったため、その後の避難所運営と学校教育との調整に多くの課題が残りました。

一方、**東日本大震災(平成23年3月11日発生)**は、以下の点で阪神・淡路大震災とは異なる新たな課題を突きつけました。

  • 規模と質: 巨大地震に加え、甚大な津波被害が発生したこと。
  • 発生時刻: 平日の昼間に発生したため、学校管理下での児童生徒の避難行動が問われたこと。
  • 事後対応: 帰宅困難な児童生徒への対応や、通信途絶時の関係機関との連携など。

本調査は、学校における被害状況と対応(発災時・発災後)を詳細に整理し、防災体制や教育の効果を検証することで、今後の防災教育の在り方を検討することを目的としています。

  1. 調査の概要

調査対象

  • エリア: 被災3県(岩手県、宮城県、福島県)
  • 学校種: 国公私立の全学校種(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)
  • 校数: 3,127校(本校・分校含む)

※平成22年度学校基本調査数から、被災による休校・休園等を除いた数。

調査期間・方法

  • 期間: 平成24年1月12日~2月29日(回収完了)
  • 方法: 原則としてインターネット(メール回収)。通信環境が未復旧の学校や私立幼稚園等は郵送で実施。
  1. 調査項目

大きく以下の3つのテーマで構成されています。

  1. 地震被害など(対象:全校)
    • 被害状況、対応、安全管理、防災教育の実施状況
  2. 津波被害など(対象:浸水予測地域および実際に津波が到達した学校)
    • 津波による被害状況と避難行動
  3. 避難所運営など(対象:宮城県※仙台市除く、および福島県の学校)
    • 避難所としての運営実態
  1. 回答状況と被害概要
  • 回収率: 83.6%(2,617票)
    • 特に特別支援学校(98.4%)、小学校(88.3%)で高い回収率となりました。

被害の傾向(回答校における割合)

  • 地震被害: 建物被害は多い(77.2%)ものの、人的被害は極めて少ない(0.4%)。
  • 津波被害: 対象校(149校)のうち、20.1%(30校)で人的被害が発生しており、津波の脅威が際立っています。
  1. データの見方・留意点

本データを読み解く上で、以下の当時の状況を考慮する必要があります。

  • 当時の学校行事:
    • 中学校: 卒業式当日、またはその前後の学校が多くありました。
    • 高等学校: 入試の採点日(休業日)にあたる学校が多く、生徒は部活動中のケースなどが目立ちました。
  • 用語の定義:
    • 「学校等」: 幼稚園から特別支援学校まで全ての校種を含みます。
    • 「沿岸部市町村」: 太平洋沿岸に接している市町村を指します(海岸線からの距離は考慮していません)。

【沿岸部市町村の定義】

本調査において「沿岸部」として集計された市町村は以下の通りです。

県名 市町村名
岩手県 洋野町、久慈市、野田村、譜代村、田野畑町、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市
宮城県 気仙沼市、南三陸町、石巻市、女川町、東松島市、松島町、利府町、塩竃市、多賀城市、七ヶ浜町、仙台市、名取市、岩沼市、亘理町、山元町
福島県 新地町、相馬市、南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、いわき市