避難所の外にいる被災者を取り残さない
大規模災害では、すべての被災者が指定避難所へ行くわけではありません。自宅、車中、親族宅、ホテル、事業所、公園、駐車場などに分散し、数世帯単位の小規模な避難者集団も自然に発生します。
しかし、現在の支援体制は指定避難所を中心に組み立てられているため、行政が所在や人数を把握できない人は、食料、水、トイレ、医療、介護、福祉、電源などの支援から取り残されるおそれがあります。
福岡市の防災アプリ「ツナガル+」は、住民が指定避難所以外の避難場所について、位置、人数、被災状況、必要物資を市へ伝える仕組みです。この住民側の入口を、愛知県の防災情報システム、国の災害情報共有基盤「SOBO-WEB」、物資調達・輸送システム「B-PLo」へつなぐ必要があります。
愛知県に求めること
愛知県は、県内全市町村が共同利用できる「避難者・支援ニーズ連携基盤」を整備すべきです。
- 在宅、車中、民間施設、小規模避難場所も登録対象にする
- アプリ、Web、LINE、電話、紙、代理入力に対応する
- 人数、要配慮者、必要物資、医療・福祉ニーズを把握する
- 受付、確認、手配、配送、完了の進捗を住民へ返す
- 県防災情報システム、SOBO-WEB、B-PLoと連携する
- 尾張西部、名古屋都市圏、東三河・中山間地域でモデル実証する
防災庁に求めること
2026年中に発足する防災庁には、この仕組みを全国共通の公共インフラとして整備することを求めます。
- 避難者、避難拠点、支援ニーズの全国共通データ標準を策定する
- 指定避難所以外にも全国共通の一時拠点IDを発行する
- SOBO-WEBを「被害地図」から「支援進捗地図」へ発展させる
- B-PLoと自動連携し、物資の要請から配布完了まで追跡する
- 保健、医療、介護、福祉、NPO支援を同じ案件IDでつなぐ
- オフライン、代理入力、共同利用、個人情報保護を全国標準にする
個人の病名や服薬情報は物資システムへ流さず、保健医療福祉の担当者だけが必要な範囲で扱います。また、アプリを使えない人や自治会未加入者にも不利益を与えてはなりません。
避難所に来た人だけを支援する防災から、どこに避難していても必要な支援につながる防災へ。
愛知県が先行して実証し、防災庁が全国標準として完成させることが、本提案の中心です。
避難所の外にいる被災者を取り残さない
愛知県版・全国共通「避難者・支援ニーズ連携基盤」の構築を求めるレポート兼提案書
― 福岡市「ツナガル+」の実践を、SOBO-WEB・B-PLo・保健医療福祉支援へつなぐ ―
2026年8月23日
提案の要旨
大規模災害では、すべての被災者が指定避難所へ行くわけではない。自宅、車中、親族宅、ホテル、事業所、集会所、公園、駐車場などにとどまる人や、数世帯単位で自然に集まる小規模な避難者集団が多数発生する。
しかし、現在の行政の情報収集と物資供給は、なお指定避難所を中心に組み立てられている。行政が把握できない避難者は、食料、水、携帯トイレ、医療、介護、福祉、保健巡回、電源などの支援から取り残されるおそれがある。
福岡市の防災アプリ「ツナガル+」は、住民が公園や駐車場などを「指定外避難所」として登録し、場所、人数、被災状況、必要物資を市へ伝える仕組みを実装している。これは、避難所外にいる被災者を行政が把握するための有力な先行事例である。福岡市「ツナガル+」
一方、国では、新総合防災情報システム「SOBO-WEB」と、新物資システム「B-PLo」が既に運用されている。愛知県も県防災情報システムをSOBO-WEBへ接続し、避難所の位置や避難者数などを国と共有する整備を進めている。
それでもなお、住民・避難者から市町村へ情報を届ける「最初の一歩」と、保健・福祉・物資配送までの業務を貫く共通データ設計が不足している。
そこで本提案書は、愛知県に対して、県内全市町村が共同利用できる「愛知県避難者・支援ニーズ連携基盤」を構築し、指定避難所だけでなく、在宅・車中・自主的な避難場所にいる人も支援対象として把握することを求める。
さらに、2026年7月17日に公布された防災庁設置法に基づき同年中に発足する防災庁に対し、この仕組みを全国共通仕様として整備し、SOBO-WEB、B-PLo、被災者台帳、保健医療福祉支援を相互接続することを提案する。防災庁設置法の審議経過
結論は明確である。
支援は「どの避難所にいるか」ではなく、「どこにいる誰が、何に困っているか」を起点に組み立てるべきである。
1 問題の所在――「避難所中心」では被災者を把握できない
1-1 避難先は多様化している
巨大地震、津波、高潮、河川氾濫、内水氾濫、液状化などが重なると、指定避難所そのものが浸水、停電、断水、過密、アクセス不能になる可能性がある。
その場合、被災者は次のような場所へ分散する。
- 自宅の2階や敷地内
- 車中泊場所
- 親族・知人宅
- ホテル・旅館
- 会社、工場、店舗
- 集会所、寺社、民間施設
- 公園、駐車場、空き地
- 数世帯が自然に集まった小規模な避難場所
このような避難は、自治会が事前に編成するとは限らず、発災時に家族、近隣、集合住宅、事業所などを単位として自然発生する。したがって、行政の仕組みは、あらかじめ登録された団体だけを対象にするのではなく、発災後に生じた避難者集団を柔軟に受け付けられなければならない。
1-2 把握できなければ、支援を配分できない
行政が必要とするのは、単なる避難者総数ではない。
- どこにいるか
- 何世帯、何人いるか
- 乳幼児、高齢者、障害者、妊産婦などがいるか
- 水、食料、トイレ、電源、冷暖房は足りているか
- 医療、服薬、介護、福祉、保健支援が必要か
- 何を、何個、いつまでに必要としているか
- 要請が受付済みか、手配済みか、配送中か、届いたか
これらが分からなければ、市町村は支援の優先順位を決められず、県も広域調整ができず、国も必要量を推計できない。
2 福岡市「ツナガル+」から学べること
福岡市は、熊本地震で車中泊など指定避難所以外の避難者把握が遅れた教訓から、2018年4月に「ツナガル+」を開始した。
災害時には、市がアプリを災害時モードに切り替え、住民が公園や駐車場などを「指定外避難所」として登録できる。自治体側の管理画面では、その場所、人数、要望内容を把握し、住民と双方向で連絡できる。自治体向け「ツナガル+」管理サービス
2024年度には、ツナガル+で収集した情報を福岡市の「災害対応支援システム」へ自動連携する改修も行われた。福岡市強靱化計画・進捗状況
この仕組みの最大の価値は、住民が行政へ直接、次の情報を伝えられる点にある。
- 避難者集団が発生した場所
- その場所にいる人数
- 現在困っていること
- 必要な物資や支援
ただし、公表資料上、年齢、障害、要介護、医療機器、妊産婦、アレルギーなどの個人属性を構造化して扱う機能や、国のB-PLoへ直接自動連携する機能までは確認できない。
したがって、ツナガル+は完成形ではなく、全国的な仕組みを考えるための「住民側の入口」と評価すべきである。
3 愛知県の現状と残された課題
3-1 「場所の支援」から「人の支援」へ転換した
愛知県は2025年11月、従来の「避難所運営マニュアル」を「避難生活支援マニュアル」へ改称した。
これは、避難している場所にかかわらず適切な支援を行うという考え方への転換である。在宅避難者・車中泊避難者への対応、在宅避難者等支援施設の設置手順、スフィア基準、トイレ、食事、入浴、性犯罪・DV防止なども追加された。愛知県避難生活支援マニュアルの改定
方向性は正しい。しかし、マニュアルに支援対象として書くだけでは、発災時にその人たちの所在と需要をリアルタイムに把握できない。
3-2 県防災情報システムとSOBO-WEBの接続は進んでいる
愛知県は、従来別々だった県防災情報システムと市町村防災支援システムを統合し、県と市町村間の情報連携のタイムラグを解消した。また、県から国のSOBO-WEBへ情報を送信する改修を実施し、国からの情報を県が受信する改修も進めている。
県議会での説明では、SOBO-WEBへ避難所の位置、避難者数、人的・建物被害、道路規制などを送る運用が示されている。愛知県議会・防災情報システム改修に関する答弁
しかし、現在の主な情報源は市町村職員や防災関係機関であり、在宅・車中・小規模避難場所から住民自身が登録した情報を、県内共通様式で取り込む仕組みは確認できない。
3-3 愛知県に不足している「最後の1キロ」と「最初の1キロ」
現行体制には二つの空白がある。
一つは、住民から行政へ情報を届ける「最初の1キロ」である。
もう一つは、県や国の物流拠点から、避難所外の被災者の手元へ支援を届ける「最後の1キロ」である。
県の防災情報システム、SOBO-WEB、B-PLoが整備されても、この両端がつながらなければ、避難所外の被災者は見えないままである。
4 国のシステムと防災庁発足の意味
4-1 SOBO-WEB
SOBO-WEBは2024年4月から運用され、国、地方自治体など約1,900機関が利用している。人的・建物被害、道路、避難所などの情報を地理空間情報として集約し、災害対応機関が同じ状況認識を持つための基盤である。内閣府「SOBO-WEB」
ただし、基本的には行政・防災機関間の情報共有システムであり、住民が直接支援ニーズを登録する窓口ではない。
4-2 B-PLo
B-PLoは2025年4月から運用され、国、地方公共団体、民間事業者の間で備蓄、物資要請、調達、割当て、輸送、到着を管理する。内閣府「国の物資支援について」
しかし、B-PLoは住民向けアプリではなく、行政・物流側の業務システムである。住民から寄せられた要望を、市町村が品目と数量に集約してB-PLoへつなぐ工程が必要になる。
国は、SOBO-WEBとB-PLoの連携を早期に実現する方針を示しているが、住民側の受付、個人・世帯・避難者集団の情報、保健医療福祉支援まで含む一貫した全国標準は、なお発展途上である。令和7年版防災白書
4-3 防災庁に求められる役割
防災庁設置法は、防災庁に、災害予防、応急対策、復旧、復興を通じた企画立案・総合調整、被災者の応急救助、関係行政機関の調整、技術研究開発と普及を担わせている。防災大臣には、関係行政機関に対する資料要求、説明要求、勧告権も設けられる。防災庁設置法案本文
防災庁が単に内閣府の既存業務を移すだけなら、現場の分断は解消しない。発足時に、住民から市町村、都道府県、国、物流、医療、福祉までをつなぐ共通データ基盤を所管することが必要である。
5 提案する全体像
「全国避難者・支援ニーズ連携基盤」の構築
flowchart TD
A["被災者・世帯・自然発生した避難者集団"]
B["受付:アプリ・Web・LINE・電話・紙・代理入力"]
C["市町村:避難者・支援ニーズ管理"]
D["都道府県:広域調整・SOBO-WEB"]
E["防災庁:B-PLo・省庁・広域応援"]
A --> B
B --> C
C --> D
D --> E
E --> D
D --> C
C --> B
この基盤は、一つの巨大アプリを全国民に強制するものではない。
住民は、自治体アプリ、Webフォーム、LINE、電話、窓口、紙、支援者による代理入力など、利用可能な手段を選ぶ。入口が異なっても、行政側では同じ共通データ形式に変換し、重複を整理して、一つの支援案件として扱う。
6 共通化すべき情報
6-1 避難者集団・拠点情報
- 全国共通の拠点ID
- 緯度・経度、住所、目印
- 場所の種類
- 世帯数、総人数
- 代表連絡先
- 登録方法と最終更新日時
- 現場確認の有無
- 受付、確認、手配、配送、完了の状況
対象は指定避難所だけでなく、自宅、車、親族宅、ホテル、民間施設、事業所、集合住宅、公園、駐車場、自然発生した小規模避難場所を含める。
6-2 集約属性
- 乳幼児、児童、高齢者のおおよその人数
- 妊産婦の有無
- 車いす、歩行介助、視覚・聴覚支援の必要人数
- 医療機器用電源を必要とする人の有無
- 外国語・やさしい日本語・手話等の情報支援
- ペット同行の有無
6-3 生活・物資ニーズ
- 飲料水、食料、乳児用ミルク
- 乳幼児用・大人用おむつ
- 携帯・簡易トイレ、トイレットペーパー
- 生理用品
- 毛布、衣類、寝具
- 医療・衛生用品
- 充電、照明、冷暖房用電源
- 入浴、洗濯、廃棄物処理
- 必要数量、緊急度、希望時刻
B-PLoへ送る際は、氏名や病名ではなく、拠点ID、品目、数量、希望期限、搬入条件などに集約する。
6-4 個別の保健医療福祉情報
- 氏名、年齢、連絡先
- 要介護、障害、医療的ケア
- アレルギー、服薬
- 医療機器と必要電源
- 緊急連絡先
- 本人同意と共有範囲
この情報は、一般の避難所運営者や近隣住民へ一律に公開せず、保健師、医療、福祉、災害ケースマネジメント担当者など、必要な権限を持つ者に限定する。
7 愛知県に求める具体的取組
提案1 県内共通の住民受付機能を整備する
県内のどの市町村でも利用できる、在宅・車中・指定外避難場所の登録機能を共同調達する。既存自治体アプリやLINE等からも接続できるAPIを用意する。
提案2 県防災情報システムに避難所外避難者を位置付ける
指定避難所と同様に、在宅避難者等支援施設、小規模避難場所、車中泊集積地、孤立集落等を地図上で管理し、人数と需要の更新履歴を表示する。
提案3 SOBO-WEB、B-PLoとの項目対応表を公開する
住民が入力したどの情報が、市町村、県、国、物流、保健医療福祉のどこへ渡るのかを整理し、公表する。二重入力を極力なくす。
提案4 三類型でモデル実証を行う
- 海抜ゼロメートル地帯を含む尾張西部
- 人口密集・集合住宅の多い名古屋都市圏
- 孤立リスクのある東三河・中山間地域
災害特性の異なる地域で実証し、県内全域へ展開できる共通仕様を確立する。
提案5 物流と保健医療福祉を分けて接続する
物資需要はB-PLoへ、健康・介護・福祉需要は保健医療福祉調整本部等へ送り、同じ拠点ID・案件IDで進捗を確認できるようにする。
提案6 デジタルを使えない人を排除しない
電話、紙、巡回、民生委員、福祉事業者、NPO、市町村職員等による代理入力を標準機能にする。アプリ未利用者、未登録者、自治会未加入者に配給や行政サービス上の不利益を与えない。
提案7 平時から訓練し、職員負担を検証する
システム操作だけでなく、受信した要望の確認、優先順位付け、担当割当て、物資手配、配送完了までを一連の訓練とする。現場職員に重複入力を求めないことを重要な評価項目にする。
提案8 県民に進捗が返る仕組みを設ける
「送信済み」だけで終わらせず、受付済み、確認中、手配済み、配送中、完了、対応困難などを申請者へ返す。誤解を避けるため、緊急通報ではないこと、支援要請だけで配送や救助が保証されるものではないことも明示する。
8 防災庁に求める全国的取組
提案1 全国共通の避難者・支援ニーズデータ標準を策定する
自治体ごと、アプリごとに入力項目が異なる状態を改め、避難者、拠点、属性、ニーズ、支援状況、物資配送の共通データ項目とAPIを定める。
提案2 全国共通の避難所・避難拠点IDを拡張する
指定避難所だけでなく、発災後に登録される在宅避難者支援拠点、車中泊集積地、民間施設、小規模避難場所にも一時IDを発行できるようにする。
提案3 SOBO-WEBを「被害地図」から「支援進捗地図」へ発展させる
被害、道路、避難者数を表示するだけでなく、どこにどの需要があり、誰が担当し、いつ支援が届くかまで関係機関が共有できるようにする。
提案4 B-PLoとの自動連携を標準化する
市町村が集約した物資需要をB-PLoへ自動送信し、割当て、出発、到着、配布完了の情報を市町村と住民側へ返せるようにする。
提案5 被災者マスターデータベースとの接続ルールを定める
避難場所が市町村や都道府県をまたいで変わっても、同じ被災者として支援履歴を引き継げるようにする。ただし、全国一律に個人情報を集中保存するのではなく、分散管理、閲覧権限、目的外利用禁止、保存期限、利用履歴監査を制度化する。デジタル庁「災害対応の取組」
提案6 保健・医療・福祉支援を情報基盤に組み込む
物資だけでなく、保健師巡回、災害派遣福祉チーム、医療、薬剤、介護、障害福祉、こども支援、DV・性暴力対応などへ案件を引き継げるようにする。
提案7 最低限のオフライン機能を義務化する
通信途絶時にも端末内へ一時保存し、復旧後に送信できること、複数端末からの重複を統合できること、衛星通信や可搬型通信設備からも利用できることを調達要件とする。
提案8 自治体の共同利用を国費で支援する
小規模自治体ごとの独自開発を避け、都道府県単位または広域単位で共同利用できるクラウド型基盤を整備する。導入費だけでなく、運用、研修、端末、通信、データ移行、セキュリティを継続支援する。
提案9 民間サービスとの接続性を保証する
特定企業のアプリに依存せず、デジタル庁の避難所運営システム・モデル仕様書に準拠し、CSV・APIによるデータ移行と相互接続を必須にする。デジタル地方創生モデル仕様書
提案10 全国共通訓練と公開検証を実施する
毎年、住民登録、市町村集約、都道府県調整、SOBO-WEB共有、B-PLo物資手配、最終配布までを通した訓練を行い、処理時間、未把握者数、重複入力、物資到着時間、職員負担を公表する。
9 個人情報保護と住民の権利
この仕組みは、住民監視や自治会による名簿管理の強化を目的とするものではない。
守るべき原則は次のとおりである。
- 参加・登録は本人意思を基本とする
- 未登録や自治会未加入を理由に支援上の不利益を与えない
- 目的ごとに必要最小限の情報だけを扱う
- 物資情報と医療・福祉情報を分離する
- 誰が閲覧したかを記録する
- 本人が共有範囲を確認・変更できるようにする
- 災害対応終了後の保存期間と削除手続きを定める
- 地域住民に救助、介護、医療行為を義務付けない
地域やNPOの役割は、安否確認、情報中継、声を上げにくい人の支援要請を補うことである。行政が負うべき支援責任を、住民の善意へ転嫁してはならない。
10 実施工程の提案
2026年度
- 愛知県・市町村・消防・保健医療福祉・物流・NPOによる検討会設置
- 共通データ項目、権限、個人情報保護、業務フローの設計
- 尾張西部、都市部、中山間地域での実証準備
- 防災庁へ全国標準化を要望
2027年度
- 三地域で実証訓練
- 県防災情報システム、SOBO-WEB、B-PLoとの連携試験
- 電話・紙・代理入力・オフライン運用の検証
- 処理時間、職員負担、未把握者率、重複率の公表
2028年度
- 愛知県内全市町村への共同利用展開
- 県境を越える避難者情報の連携試験
- 全国共通仕様への反映
2029年度以降
- 全国展開
- 実災害と訓練結果に基づく毎年の仕様更新
- AIによる需要予測、重複検知、配送優先順位案の導入
AIは判断を代替するものではなく、職員の情報整理を支援するものとし、最終判断の責任者と判断根拠を記録する。
11 成果を測る指標
システム導入数やアプリのダウンロード数だけを成果指標にしてはならない。少なくとも次を測定する。
- 発災後24時間以内に所在を把握できた避難者の割合
- 指定避難所以外の避難者把握数
- 支援要請から受付確認までの時間
- 物資要請から配布完了までの時間
- 医療・福祉案件の引継ぎ完了率
- 重複入力・転記回数
- 情報の最終更新からの経過時間
- アプリ以外の手段で受け付けた人の割合
- 職員の超過勤務と交代・休息確保状況
- 支援を受けられなかった被災者と、その理由
結論
福岡市「ツナガル+」は、避難所外にいる人が自ら場所、人数、要望を行政へ伝えるという重要な入口を示した。愛知県は「場所の支援から人の支援へ」と方針を転換し、県防災情報システムとSOBO-WEBの接続も進めている。国にはSOBO-WEBとB-PLoという基盤がある。
今、欠けているのは、これらを被災者一人ひとりの支援まで貫く共通設計である。
防災庁の発足を、単なる組織再編で終わらせてはならない。住民、自治体、都道府県、国、物流、医療、福祉、NPO、企業が同じ情報を必要な範囲で共有し、支援の担当、期限、進捗を確認できる仕組みを、全国の公共インフラとして整備すべきである。
避難所に来た人だけを支援する防災から、どこに避難していても必要な支援につながる防災へ。
これを、愛知県が先行実証し、防災庁が全国標準として完成させることを提案する。

