五之三地区防災会の歩みと今後の方向性――サマリー
五之三地区防災会は、平成16年の発足以来、約20年間にわたり、地域の実情に合わせて活動を発展させてきました。
第1段階では、1年任期による経験の断絶を防ぐため、役員経験者が3年間関わる体制を導入しました。あわせて、資機材整備、ハザードマップづくり、防災キャンプなどを実施し、地域全体の防災意識を高めました。
第2段階では、約10軒を担当する年番への防災講習を始めました。年番は毎年交代しますが、講習を続けることで、防災を理解する住民が地域内に少しずつ増えていきます。全戸アンケートなどにより、高齢者や一人暮らし世帯の不安も見えてきました。
一方、要配慮者の氏名や健康状態を共有する場合には、本人同意、共有範囲、保管・更新・廃棄など、個人情報を守るルールが必要です。
「お互い様小グループ」の考え方を見直す
当初は、3~5軒程度の「お互い様小グループ」を事前に編成する構想が検討されました。
しかし、役員会では、次の意見が示されました。
- 近所の助け合いは、災害時に自然に生まれるものである
- 自治会が事前にグループを作り、管理すべきではない
- 新しい役員、名簿、会議、訓練を増やしてはならない
- 役員や住民に新たな責任を負わせてはならない
この意見を踏まえ、「お互い様小グループ」は正式な組織ではなく、災害時に自然に生まれる近隣の助け合いを表す考え方として位置付け直します。
住民は、まず自分と家族の安全を確保します。そのうえで、安全な場合に限り、できる人が、できるときに、できる範囲で近所に声を掛けます。これは義務ではありません。
自治会の役割
自治会・防災会の役割は、小グループを編成・管理することではありません。
近隣の助け合いの中で見つかった安否や困り事を、
近隣住民 → 年番・組 → 地域拠点 → 市・消防・福祉・医療
へつなぐための最低限の環境を整えることです。
危険な救助、浸水中の見回り、要介護者の無理な搬送、医療行為などを住民に求めてはいけません。地域は異変に気づき、情報をつなぎ、行政や専門機関が責任を持って支援を引き継ぎます。
今後の基本方針
新しい訓練や会議を増やさず、既存の年番講習、回覧、防災訓練などを活用して、連絡先や情報伝達の流れを簡潔に確認します。
また、小グループ単位の共同備蓄は制度化せず、水、食料、常用薬などは各家庭、発電機や通信用品などは自治会・防災会、大量の物資や福祉・医療支援は行政が担う形を基本とします。
在宅避難についても、自宅と周辺の安全が確保できる場合に限ります。洪水や高潮などの危険がある場合は、早期の立退き避難を優先しなければなりません。
結論
五之三地区防災会の次の段階は、活動や組織を増やすことではありません。
無理に組織を作らない。
役員の仕事を増やさない。
訓練を増やさない。
できる人が、できる範囲で助け合う。
地域で抱え込まず、行政や専門機関へつなぐ。
地域の善意を義務に変えず、今ある仕組みを無理なく改善していくことが、五之三地区の防災活動を長く続け、実際の災害時に機能させる最も現実的な方向です。

