【提言書】弥富市の災害対応力を劇的に高める「自律考動型」防災訓練への転換
〜「こなす行事」から「命を守る・考える訓練」へ〜
1. 提言の背景と弥富市における現状の課題
弥富市は海抜ゼロメートル地帯という特有の地理的条件を持ち、水害や地震への備えは市政の最重要課題です。しかし、現在の防災訓練において、全国の自治体と同様に以下の課題が懸念されます。
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訓練の形骸化(パレード型・展示訓練化): 法令や計画に基づく「訓練の開催自体」が目的となり、決められたシナリオ通りに動く儀式や見せ物になっていないでしょうか。
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「わが事化」の欠如とやらされ感: 「正論(法令上の義務)」だけでは職員や住民は動きません。マニュアルを「覚えること」に終始し、参加者が自身の役割を認識せず、想定外の事態における無力感に繋がっています。
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受講後の姿の不在: 訓練終了後に「誰が、どのような行動をとれる状態になっていたいか」という明確な目標像が欠如しています。
2. 実効性を高める訓練企画の「3つの転換」
いざという時に「動ける」弥富市を作るため、以下の転換を図る新しい訓練プログラムを提案します。
① 「覚える」から「考える」訓練(Don’t memorize! Think!)への転換
マニュアルにない「想定外」が必ず発生する災害現場では、自ら考える力が必須です。
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討議型訓練の先行実施: いきなり実働訓練(対応型)を行うのではなく、「状況付与型図上訓練」や「クロスロード」などの討議型手法を導入します。正解を教え込むのではなく、「このままだとマズイ」という気づきを参加者自身に生ませます。
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自問自答の誘発: 「答えが出ないこと」自体を気付きとし、状況に応じて「自分ならどう動くか」を言語化させます。
② 「本番」から「事前準備(プロセス)」重視への転換
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準備段階こそが最大の訓練: 訓練当日を「成果発表の場」と再定義します。事前の企画段階から関係部署(防災担当以外の福祉・土木部門等)や関係機関(警察・消防・NPO等)を巻き込みます。
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組織の目線合わせ: 訓練前の段階で、部署間で「これはうちの仕事ではない」といった摩擦を乗り越え、喧々諤々と議論し合う過程(プロセス)自体を最大の訓練成果と位置づけます。
③ 「義務」から「インセンティブ(動機付け)」への転換
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地域・企業へのアプローチ: 住民や企業を巻き込む際は、単なる義務感ではなく「楽しい」「役に立つ」「メディアに取り上げられる(企業価値向上)」といった、各属性に刺さるインセンティブを提示し、興味関心の入り口を広げます。
3. 令和〇年度 弥富市総合防災訓練アクションプラン(案)
本年度は、災害対策本部メンバー(幹部職員)および各部署の防災担当者を対象に、「自分ごと化」と「組織の目線合わせ」を目的とした実践型プログラムを実施します。
■ 実施スケジュールとステップ
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【STEP1:事前訓練】〇月上旬:オリエンテーションとミニ・ワーク
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単なる趣旨説明ではなく、ミニワークを実施。「大規模水害と地震が複合発生した場合、自部署はどうなるか?」を問いかけ、自問を促します。
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【STEP2:目線合わせ】〇月中旬:各部署での対応方針の言語化
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各部署にて、与えられた想定に対する役割確認と対応方針を検討・書き出し(言語化)を行います。
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【STEP3:訓練当日】〇月下旬:状況付与型・図上訓練(成果発表)
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事前の予定調和を崩す「正解のない状況(例:避難所の長期化、主要道路の寸断等)」を付与。その場での意思決定と、部署間の連携対応力を問います。
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【STEP4:振り返り】〇月〜:マニュアルの改訂と日常への落とし込み
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浮き彫りになった課題を整理し、計画へ反映。この「状況把握・課題解決・チーム内連携」のプロセスは、職員の日常のマネジメント能力向上にも直結します。
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4. 弥富市トップ(市長・幹部)へのお願い
この新しいアプローチを成功させる最大の鍵は、意思決定層の理解と強力な後押しです。 「なぜ今、やり方を変える必要があるのか」「失敗や意見の衝突を歓迎する」というメッセージをトップから発信していただくことで、全庁的な「わが事化」のスイッチが入り、弥富市の防災力は確実に次の次元へと進化します。
【作成にあたっての意図】 ご提示いただいた「討議型と対応型の使い分け」「受講後の姿の設計」「ファシリテーションの重要性」といったエッセンスを漏らさず組み込みつつ、行政の企画書としてそのまま決裁・回覧に使えるようなフォーマットに整えました。必要に応じて時期や対象者などを調整してご活用ください。
