【提言】デジタル技術を活用した「全庁的災害情報収集体制」の構築
〜海抜ゼロメートル地帯・弥富を守る「確かな目」を全職員で共有するために〜
1. 提言の背景:弥富市特有の課題
弥富市において大規模地震や水害が発生した場合、道路の陥没、堤防の亀裂、水路の溢水などが市内全域で同時多発的に発生します。
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情報のボトルネック: 現場の状況が電話や口頭による「曖昧な報告(〇〇付近の道がひどい等)」に終始すると、災害対策本部での優先順位判定が遅れ、資機材や業者の手配に致命的なロスが生じます。
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専門外職員の活用: 土木課以外の職員も避難所運営やパトロールで現場に出ますが、被害状況を「土木視点(定量的)」で報告する術を知らないため、せっかくの情報が活用されにくい現状があります。
2. 提言内容:「まちレポ」を活用したゲーム型実戦訓練の導入
既存の「まちレポ」アプリ等を活用し、専門外の職員を含めた全職員が「現場に行かずに業者が手配できるレベル」の報告スキルを習得するための、体験型シミュレーション訓練の実施を提言します。
① 訓練コンセプト:災害情報収集ウォークラリー
座学ではなく、実際にスマートフォンを手に市街地へ出る「ゲーム型訓練」を実施します。
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ミッション: 指定されたエリア(市役所周辺、公共施設、水路沿い等)で、仮想の「被害パネル」や実際の「道路の不具合」を発見し、アプリで報告。
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評価の転換: 報告の「数」ではなく、「写真の質(場所が特定できるか)」と「コメントの具体性(寸法が入っているか)」でスコア化し、チーム対抗で競います。
② 弥富市版・報告品質の基準(土木視点の共有)
全職員に以下の「3つの必須要素」を徹底させます。
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比較対象のある写真: 穴のアップだけでなく、電柱や建物が入った「全景」と、サイズ比較(手や足、ペン等)を入れた「近景」のセット。
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定量的なコメント: 「ひどい」ではなく「幅2m、深さ50cm」といった概数の入力。
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緊急度と管轄: 通行止めの要否、および県道標識や土地改良区のプレートの有無の確認(たらい回しの防止)。
3. 期待される効果
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初動の劇的な短縮: 写真と位置情報が紐付いたデータが本部に集約されることで、電話での確認作業が不要となり、復旧作業への着手が早まります。
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全職員の「専門家」化: 土木職以外の職員が「寸法」や「状況」を意識して報告できるようになることで、全庁的な災害対応能力が底上げされます。
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弥富市版・実戦マニュアルの完成: 訓練で得られた「成功事例(模範解答)」をマニュアル化することで、職員の異動に左右されない持続可能な体制が構築できます。
4. 実施に向けたステップ(ロードマップ)
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トライアル: 危機管理部門および建設部門の若手職員を中心とした予行演習。
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本訓練: 総合防災訓練の1コマとして、全庁的なウォークラリー型訓練を実施。
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市民展開: 職員が習熟した後、地域の自主防災組織や協力企業へ「まちレポ」の利用を広げ、市民参加型の被害情報収集ネットワークへ進化させる。
結びに
弥富市が「災害に強いまち」であるためには、ハード整備だけでなく、情報のデジタル化とそれを使いこなす「人(職員)」の育成が不可欠です。本訓練を通じ、職員一人ひとりが海抜ゼロメートル地帯を守る「確かな目」となることを期待します。
資料:訓練用「報告品質評価チェックリスト」
| 項目 | 評価ポイント | 配点 |
| 写真 | 全景(場所特定)と近景(被害詳細)が揃い、手ブレがないか | 3点 |
| 位置情報 | 地図上のピン位置が被害箇所と正確に一致しているか | 2点 |
| コメント | 寸法(幅・長・深)、対象物、緊急度が明記されているか | 5点 |
| 合計 | 現場に行かず、この報告だけで「業者への発注」が可能か | 10点 |
企画書
案件名: 全庁的災害対応力強化に向けた「まちレポ」活用・情報収集シミュレーション訓練 提案者: [あなたのお名前/部署名] 作成日: 202X年X月X日
- 企画の背景と課題
大規模災害発生時、現場では情報が錯綜し、電話や口頭での伝達では「場所の特定」や「被害規模の把握」に多大な時間を要することが常態化しています。
- 現状の課題: 電話報告では「◯◯の近く」といった曖昧な位置情報になりがちで、正確な場所や被害状況(亀裂の深さ・幅など)が伝わらない。
- 目指す姿: 「正確な位置情報」+「現況写真」+「定量的なコメント(寸法など)」をセットにしたデジタル報告(まちレポ等)を全職員が使いこなせる状態。
- 目的
「まちレポ」アプリ等の既存システムを活用し、土木課職員に限らず、全職員が災害現場の情報を「正確に・迅速に」集約できる体制を構築します。 名古屋市土木局では40年前(FOMA時代)より同様の写真メール送信体制を敷いており、これを現代のスマートフォンとアプリに置き換え、より高精度な情報収集を目指します。
- 実施内容:ゲーム感覚で行う「災害情報収集ウォークラリー(仮)」
座学や分厚いマニュアル配布から入るのではなく、実際に外へ出てアプリを使用する「体験型(ゲーム形式)」の訓練を実施します。
① 対象者
- 全職員(土木課以外の職員も含む) ※災害時は全職員が情報収集の「目」となる必要があるため。
② 訓練シナリオ(想定)
市内の特定のエリア(公園、道路、公共施設周辺など)を対象区域とし、仮想の被害状況を設定してチーム対抗で情報を収集する。
- 基本ミッション: 指定エリア内で「修繕が必要な箇所(または仮想の被害ポイント)」を見つけ、まちレポで報告する。
- 評価ポイント: 報告の「数」ではなく「質」を競う。
③ 報告スキルの重要ポイント(訓練の肝)
写真と位置情報に加え、**「写真には写らない補足情報」**をコメント入力することをルール化します。
- 必須入力項目の例:
- 規模(寸法): 被害範囲(L=10m, W=2m)、段差(H=50cm)、深さ(D=1m)など。
- 緊急度: 直ちに通行止めが必要か、コーン設置で済むか。
- 対象物: 道路、水路、建物、付帯施設など。
- 期待される効果
① 情報共有の効率化(「ごちゃごちゃ」の解消)
写真と位置情報が紐付くことで、電話での説明時間を削減。受け手(災害対策本部・土木課)は瞬時に状況を判断でき、資材手配や業者手配の初動が早まります。
② 管轄外対応のスムーズ化
県道、河川、土地改良区の管轄施設であっても、「写真・位置・寸法」があれば、関係機関への引継ぎや要請がスムーズに行えます。不具合の責任区分が不明な場合でも、まずはデータを取ることで「たらい回し」を防ぎます。
③ 実践的マニュアルの策定
訓練終了後、参加した職員から「何が入力しづらかったか」「どういう項目があれば便利か」をヒアリングします。これにより、机上の空論ではない、**現場の実感に基づいた「弥富市版・災害情報収集マニュアル」**を作成することができます。
- 今後のステップ(案)
- トライアル実施: まずは少人数のプロジェクトチームで予行演習を実施。
- 全庁訓練(防災訓練時): 年1〜2回の防災訓練時に、一部の時間を「まちレポ訓練」に割り当てる。
- マニュアル化: 訓練で得られた「良いコメント例」「悪い写真例」を素材として、標準マニュアルを整備する。
- 市民展開(将来的展望): 職員が習熟した後に、市民協働のツールとして、より効果的な運用へ繋げる。
- 「まちレポ」報告品質 評価シート(案)
〜その報告で、現場に行かずに業者が手配できますか?〜
このシートは、訓練後の振り返り(ワークショップ)で使用します。「受け手(災害対策本部・土木課)」の気持ちになって、自分の報告がどうだったかを採点する基準書です。
【良い報告 vs 悪い報告 の具体例】
| 項目 | × 悪い報告(NG例) | ◎ 良い報告(OK例) |
| 写真 | ・地面の穴だけがアップで写っている。
・どこか分からない。 |
・「引き(全体)」と「寄り(詳細)」の2枚ある。
・近くの電柱や建物が写り込んでおり、場所が特定しやすい。 |
| 位置情報 | ・ピンがずれている(道路の反対側など)。 | ・ピンが被害箇所直上に正確に打たれている。 |
| コメント | 「道路が壊れています」
「穴が開いています」 (感想のみ) |
「市道〇〇線。道路陥没。
L=2.0m, W=1.0m, D=0.5m。 カラーコーン設置済み。 通行止め要請。」 (事実と寸法) |
【報告採点チェックリスト(1報告につき10点満点)】
訓練では、以下のポイントを意識して「チーム対抗」などで競うとゲーム性が高まります。
① 写真の撮り方(3点)
- [ ] 全景(周りの景色)と近景(被害状況)がセットになっているか?
- [ ] 比較対象(メジャー、ペン、足など)を入れてサイズ感が分かるか?
- [ ] 逆光や手ブレがなく鮮明か?
② 位置情報の精度(2点)
- [ ] 地図上のピンは正確な位置にあるか?(建物の入口、道路の左右など)
③ コメントの「土木視点」(5点)※最重要
- [ ] 定量的な数値が入っているか?(長さ、幅、深さ、高さなど「約○m」でOK)
- [ ] 対象物が明確か?(道路、側溝、ブロック塀、カーブミラーなど)
- [ ] 緊急度の所見があるか?(「即対応が必要」「バリケードで仮対応中」など)
- [ ] 管轄の手がかりがあるか?(「県道標識あり」「土地改良区のプレートあり」など)
- 具体的訓練タイムスケジュール(案)
所要時間: 2時間(防災訓練の1コマとして想定)
参加者: 職員30名程度(5〜6チームに分ける)
想定エリア: 市役所周辺、または特定の避難所・公園周辺
| 時間 | 工程 | 内容 | 備考 |
| 0:00 | オリエンテーション
(15分) |
① 趣旨説明
「災害時は電話がつながりません。写真と文字で正確に伝える訓練です」 ② アプリ操作説明 ログイン〜投稿までの基本操作。 ③ 「良い報告」のコツ伝授 上記の評価シートを配布。「土木課長になりきって、寸法を入れてください」と指示。 |
土木課職員が講師役となると効果的です。 |
| 0:15 | フィールドワーク
(60分) |
「被害発見ウォークラリー」開始
【ミッション】 指定エリア内にある「仮想被害(パネル設置)」や「実際の修繕箇所(ひび割れ等)」を見つけ、アプリで報告する。 例: ・公園のベンチ(仮想:破損あり) ・道路の白線(仮想:消えかかっている) ・側溝(仮想:詰まっている) ※チームごとに担当エリアを変えるか、全チーム同じルートで報告の質を競う。 |
事前に「この場所は崩落」「ここは浸水」といったラミネート紙を現地に貼っておくか、既存の不具合を探させます。 |
| 1:15 | 帰還・集計
(10分) |
会場へ戻る。事務局はスクリーンに投稿されたデータを投影する準備を行う。 | リアルタイムで地図上に情報が集まる様子を見せることで、システムの効果を実感させます。 |
| 1:25 | 振り返り・講評
(35分) |
① 報告レビュー
プロジェクターで実際の投稿を投影。「この写真は分かりやすい」「このコメントは寸法があって素晴らしい」と具体的に講評。 ② ダメ出し大会 「この写真だと場所が特定できない」「これだと業者が何の機械を持って行けばいいか分からない」等の指摘を行う。 ③ マニュアルへのフィードバック 「入力時に迷ったこと」や「項目として最初から選べるようにしてほしいこと」などを意見出しする。 |
ここが重要!
この意見を元に、次年度のマニュアルやアプリの入力フォームを改善します。 |
- 訓練実施に向けた準備リスト
① 事前準備(ハード・ソフト)
- アプリ環境: 参加者のスマホにアプリをインストール、または貸出端末の準備。
- 模擬被害の設置:
- カラーコーンやラミネート紙で「仮想被害(例:【訓練】道路陥没 深さ1m)」を現地に設置しておく。
- これを撮影してもらうことで、実際の災害に近い写真を収集できます。
② シナリオ作成(ゲーム要素)
- ポイント制の導入:
- 「写真だけ」=10ポイント
- 「写真+位置」=30ポイント
- 「写真+位置+寸法コメント」=100ポイント
- 優勝チームには「防災グッズ」進呈など、楽しみながら行える工夫を。
③ マニュアル化への落とし込み
訓練終了後、土木課職員の目から見て**「これが欲しかった情報だ!」という投稿を数点ピックアップし、それを『模範解答』としてマニュアルに掲載します。 こうすることで、「現場で作った、本当に使えるマニュアル」**が完成します。
