防災ひとくちコメント:海部郡の特性と水害への備え
2025年06月12日 エフエムななみでお話した内容です。
さて、いよいよ今年も梅雨入りしましたね。私たちが住む旧**海部郡(あまぐん)は、実はごく最近まで海の底だった場所を干拓してできた地域なんです。そのため、ここはしばしば「海抜ゼロメートル地帯」**と呼ばれます。
海抜ゼロメートル地帯の現実
「海抜」とは、海の平均的な高さ、つまり平均海水面からの高さを指します。皆さん、潮干狩りに行ったことはありますか?大潮の干潮時には、海岸が大きく干上がってアサリやシジミが採れますよね。この時、海水面は平均から最大でマイナス1.4メートルも下がると言われています。逆に満潮時には、**プラス1.2メートルまで水位が上がります。**つまり、海の水は合わせて約2.8メートルもの高低差で上がったり下がったりしているのです。
若い世代の中には、潮干狩りの経験がなく、海の水が上がったり下がったりするのを見たことがない人もいるかもしれません。私たちは木曽川堤防や海の堤防に囲まれていますが、「ここは海面の下だ」という実感が湧きにくいのが現状です。
しかし、弥富市内の私の住むあたりでは、道路の高さが平均で海抜マイナス1.5メートルもあります。これは、たとえ大潮の干潮時でも、まだ水が残っている状態を意味します。木曽川や海の堤防に囲まれたこの地域では、ポンプによる排水がなければ、水は一滴たりとも自然に排出されないのです。
排水システムの重要性
そのため、「弥富防災ゼロの会」では、地域のポンプ場の見学を定期的に行っています。見学時の写真は、弥富市防災情報共有サイト(弥富防災・ゼロの会)のホームページでご覧いただけますので、ぜひ一度ご覧ください。
この排水システムが機能しないと、「内水氾濫」と呼ばれる現象が起こります。これは、たとえ堤防が決壊しなくても、排水が追いつかずに低い場所から水が溜まってしまう状態です。日光川の水閘門(すいこうもん)やポンプ場、そして各市町村が水をくみ上げるさまざまなポンプ場、さらには、もしも木曽川の堤防が万が一決壊した場合に海水が流入する可能性を考えると、これらの排水施設が私たちの生活を守る上でいかに重要かがお分かりいただけるでしょう。
個人でできる水害への備え
個人のレベルでできる対策としては、万が一、排水不良や堤防の決壊が起こった場合に備えて、以下のことを強くお勧めします。
- 最低限の水の備蓄
- 携帯トイレの準備
- 1階が浸水しても2階に避難できる体制の確保
これらの備えを整え、いざという時にご自身と大切な人の命を守れるようにしましょう。
弥富防災ゼロの会、佐藤仁志がお届けしました。 では皆さん、ご安全に。